2017年07月08日

『短腸症候群の方のお食事の注意点』

※2017/7/8 情報を更新しました。

高カロリー輸液や経管栄養など、栄養療法がご専門の管理栄養士 一丸様から、短腸症候群の患者が食事の際に何に気を付けたら良いかを分かりやすくまとめた冊子をご提供いただきましたので、ご紹介します。

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短腸症候群になると、食事ができるようになっても、どんなものなら食べて良いか、また、どんなものは避けた方が良いかが分からなくて困ることがあります。

この冊子はこれらが具体的に分かりやすく書かれているほか、食事の食べ方やサプリメントなど栄養補助食品を使う際の注意、中長期的に気を付けること、小腸や短腸症候群についても分かりやすく書かれています。

患者や家族が食事について学ぶだけでなく、担当医や学校などの関係者などに説明したり、お願いしたりする際にも役に立つと思いますので、ぜひお手元に置いてご活用ください。

なお、上の画像をクリックするとより大きな画像で読めますが、印刷には適さないので、下の「ダウンロード先」からダウンロードしてください。また、ダウンロードできない、ダウンロードしても印刷できないなどの場合は、下の「お問い合わせ先」までお問い合わせください。印刷した冊子を郵送いたします。

(代表理事:高橋(正)記)

【ダウンロード先】
『短腸症候群の方のお食事の注意点』

【お問い合わせ先】
一般社団法人 短腸症候群の会
〒319-1553 茨城県北茨城市中郷町汐見ヶ丘4-297-43
電子メール sbsa2014(a)gmail.com((a)を@に置き換えて送ってください)
ラベル:食事 合併症
posted by 高橋(正) at 22:27| Comment(0) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月03日

HPN施行下に妊娠・出産に至った短腸症候群の一例

ここに書いた内容は私が理解した内容をまとめたもので、詳しくは論文をお読みください。また、十分気を付けて書いているつもりですが、正しくないところがあるかもしれないので、利用される際は論文をご確認ください。
残存小腸が0cmで高カロリー輸液をされている女性が妊娠・出産した例を紹介した論文を紹介します。

この論文によると、女性は33歳で、妊娠中に病気でおなかの子供を失い、残存小腸0cmの短腸症候群になりましたが、高カロリー輸液によって健康状態を改善して不妊治療を受け、再度の妊娠に成功して健康な子供を出産されたとのことです。なお、出産は帝王切開にて行い、出産後は母乳が出ましたが、量は多くなくて、3ヶ月で出なくなったそうです。

また、この例の他に文献調査の結果として7例(うち短腸症候群の患者の出産例は3例で、残存小腸0cmが2例、自然分娩は1例)報告されています。

国内の短腸症候群の患者が妊娠・出産された例の報告はこの1例のみだそうですが、残存小腸が0cmで高カロリー輸液に頼っていても、適切な栄養管理を行うことで妊娠・出産ができるということはとてもすごいことだと思います。そして、それだけ健康な状態まで改善して維持することができる高カロリー輸液の効果に改めて驚かされます。

【参考】
『HPN施行下に妊娠・出産に至った短腸症候群の一例』(『外科と代謝・栄養』(2006.12),40巻(6号)277-282頁・日本外科代謝栄養学会・2006)
posted by 高橋(正) at 23:12| Comment(0) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月04日

『SIRS患者における腸内細菌叢,腸内環境の変化とシンバイオティクス療法の有効性』

短腸症候群へのシンバイオティクス療法の適用についても紹介されている論文を紹介します。

まず、この論文でキーワードになっている“シンバイオティクス療法”とは何かというと、

善玉菌の生剤と善玉菌の増殖因子を併せて投与することで、腸内細菌叢を改善し、全身の状態改善につなげる

療法のことだそうです。生剤にはビフィズス菌製剤や乳酸菌製剤、増殖因子にはフルクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖などが使われるようです。

有効だった症例を中心に紹介しているからかもしれませんが、短腸症候群以外にもたくさんの病気に適用された症例が豊富に紹介されていて、有効性を大きく感じさせられました。

また、生剤も増殖因子も“特定保健用食品”として市販されているものが多く存在しますし、リスクも少ないように思いました。

まだ腸内細菌叢の改善が全身の状態をどのような仕組みで改善していくのか解明されていないため、広く積極的に行われるまでになっていないように感じましたが、興味を持たれた方は医師に相談なさってみてください。

【参考】『SIRS患者における腸内細菌叢,腸内環境の変化とシンバイオティクス療法の有効性』(2006)
posted by 高橋(正) at 21:08| Comment(0) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月21日

『大建中湯が奏功した難治性下痢の一例』

短腸症候群ではありませんが、“大建中湯(だいけんちゅうとう)”という漢方薬が難治性の下痢を治したという症例を報告する論文を紹介します。

この論文では“考察”の中で同じ大建中湯が短腸症候群などによる下痢に対しても有効だったと報告する論文が複数紹介されています。

また、この論文の症例では、以前別の論文で紹介した“ポリカルボフィルカルシウム”という薬も効かなかったそうで、かなり有効かもしれないと思いました。

大建中湯は手術後の腸閉塞を予防する目的で処方されることがあるということなので、短腸症候群の方なら処方してもらいやすいとも思います。

『短腸症候群同盟本部』でも処方を受けている方の症例(カテゴリ“症例”の『症例 その2』)があります(下痢はされてません)し、興味を持たれた方は医師に相談されてみてください。

【参考】『大建中湯が奏功した難治性下痢の一例』(2010)
    『大建中湯』(『おくすり110番』内のページ)
    『症例 その2』(『短腸症候群同盟本部』内のページ)
posted by 高橋(正) at 20:31| Comment(0) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月19日

『短腸症候群(short bowel syndrome)に起因した尿路結石症の1例』

短腸症候群が原因で、腸性過蓚酸尿症から尿路結石症になったという症例を報告する論文を紹介します。

この論文によると、

 1.高度の脂肪吸収障害のため腸管内で余剰の脂肪酸とカルシウムの結合が増加するため,蓚酸(しゅうさん)と結合するカルシウムが減少し,可溶性の蓚酸ナトリウムが増加することにより,蓚酸の吸収量が増加する
 2.腸内細菌叢の異常により蓚酸分解が障害される
 3.小腸で吸収されなかった胆汁酸が結腸での蓚酸の透過性を亢進する

などの仕組みで尿中に蓚酸が増え、結石になるようです。

また、現在有効と考えられている予防法として、

 ・水分摂取量の確保
 ・カルシウム製剤の内服
 ・低脂肪食の励行

などがあげられていて、蓚酸カルシウム結石の再発予防としては、

 ・クエン酸とマグネシウムの合剤の内服
 ・カルシウム製剤とあわせてクエン酸、マグネシウム製剤の投与

があげられていました。

確率はそんなに高くないようですが、小腸の切除の割合が比較的少なく(1/3程度)てもなるときはなるようですし、大腸も切除していると確率が上がるそうです。

腸切除から結石発症までは約3.1年ともあったので、可能性のある方は担当医に相談してみるのも良いかもしれません。

【参考】『短腸症候群(short bowel syndrome)に起因した尿路結石症の1例』(2003)
posted by 高橋(正) at 16:37| Comment(0) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月12日

『短腸症候群長期静脈栄養管理中に生じたセレン欠乏症の1例』

中心静脈輸液(TPN)3ヶ月未満でセレン欠乏症の症状が起こったという症例を紹介します。

なお、セレン欠乏症の診断に必要な血清セレン(Se)値の測定は保険適応外で、治療に必要な注射用Se製剤も日本では認可・市販されてないそうです。
TPNが長期化するとセレン欠乏症は起こりやすいとのことなので、ぜひ早期に保険適応や治療薬の認可・市販がされることを期待します。

血清セレン値の測定は月1度程度なら保険適用されるはずという情報をいただきましたので、訂正させていただきます。

【年齢】68歳
【性別】男
【残存小腸】残存小腸約70-80cm,回盲弁あり
【症歴】9年8ヶ月

【症状】
 著名な食欲不振により経口摂取を止め、TPNにしたところ、
 ・視力低下
 ・下肢痛
 ・下肢の筋力低下
 ・爪床部白色化
 が出現した

【対策】
 ・院内Se製剤(院内倫理委員会および本人の了承済)50μg/日を経静脈的に投与

【備考】15年5ヶ月前に胃悪性リンパ腫にて幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清術およびBillrothT法再建術と術後化学療法を施行し、再発は認められなかった

【参考】『短腸症候群長期静脈栄養管理中に生じたセレン欠乏症の1例』(2009)
posted by 高橋(正) at 17:43| Comment(2) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月29日

『小腸広範切除患者におけるコレスチミド・ポリカルボフィルカルシウム投与の有効 性と腸肝循環について』

コレスチミドとポリカルボフィルカルシウムを投与した結果、糞便量や栄養吸収障害に改善が見られたという症例を改めて紹介します。

なお、“コレスチミド”についてはこちらを、“ポリカルボフィルカルシウム”についてはこちらを参考にしてください。

【年齢】45歳
【性別】女
【残存小腸】十二指腸は全て残存、空腸20%残存、回腸は残存していない(トライツ靱帯肛門側70cmから回盲部までを切除)
【症歴】半年

【症状】
 ・水様性の下痢が続く
 ・全身倦怠感
 ・著明な低栄養、低カリウム血症

【対策】
 ・中心静脈輸液(フルカリック2号1003mL/日)
 ・常食(朝、昼、晩)+コレスチミド1000mg(昼、夕2Tずつ)+ポリカルボフィルカルシウム2500mg(毎食後3Tずつ)

【備考】3年前に卵巣癌(stageVc)の診断をされ、両側卵巣摘出、子宮全摘出、リンパ節郭清術施行、その後化学療法、放射線療法を行った

【参考】『小腸広範切除患者におけるコレスチミド・ポリカルボフィルカルシウム投与の有効性と腸肝循環について』「胆汁酸研究会講演要旨集」・東北大学大学院消化器外科学分野・2007)
posted by 高橋(正) at 14:41| Comment(2) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月01日

『残存小腸0cm の短腸症候群患者に対するNST の介入』

残存小腸0cmという患者がいるという報告を改めて紹介します。

【年齢】62歳
【性別】男
【残存小腸】0cm
【症歴】数ヶ月?

【症状】
 ・サポートレベル3(高度栄養障害)の栄養不良
 ・頻回の下痢
 ・頻回の脂肪便

【対策】
 ・経口摂取に対する強い希望があり、クォーター食{脂質10.2g/
日(9.4%)}
 ・GFO、ウルソデオキシコール酸や消化管機能調節薬を投与
 ・ロペラミドに加え、麻薬性止痢剤などを投与
 ・脂溶性ビタミンの欠乏を考慮して主要エネルギーや栄養素の投与経路はTPN(高カロリー輸液)

【備考】
 ・患者本人の病識の欠如や消化器症状の変動と精神的な不安定もあり、対策はスムーズに進まなかった

【参考】『残存小腸0cm の短腸症候群患者に対するNST の介入』(「静脈経腸栄養」(2010),25巻(2号) 667頁・ジェフコーポレーション・2010)

専門用語が多くてちょっと分かりにくいですが、症状が近い方には何か参考になるかもしれません。

なお、表題中の“NST”とは、“Nutrition Support Team(栄養サポートチーム)”の略称のようです。

また、対策中の“GFO”とは、大塚製薬製の医療用粉末清涼飲料の名称のようです。詳しくはこちらをご覧ください。
posted by 高橋(正) at 19:53| Comment(6) | 参考論文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする